この記事では、オリエンテーリングイベントの中でも特に「大会」や「練習会」のような、情報サイトに公開されたイベントへの参加方法を解説していきます。
オリエンテーリングのイベント参加の流れは、おおよそ以下の通りです。

それぞれのステップについて説明していきますが、前提として皆様に守ってほしいことが2点あります。
イベントを楽しむための大前提
大事なこと①:プログラム上の『競技時間』は必ず確認し、オーバーしそうなときは途中でもゴールに帰還すること
大事なこと②:ゴール後、記録の読み取りを必ず行うこと
この2点は、競技に参加する皆様の安全管理を適切に行うために必要なのです。
競技時間を超える場合、長時間山の中や公園内に軽装で滞在することになるため、エネルギー切れや脱水などのリスクがあります。そのような競技者を救助できるよう、イベント運営側で捜索が出来る準備を整えていますが、競技時間をオーバーしても帰還しない、ゴール後の読み取りを行わない方がいると、ゴールにまだ帰還していない「未帰還者」という扱いになります。そのような場合、たとえご自身が元気な状態でも、大規模な捜索に繋がる可能性があるので、誤って捜索を出さないためにも2点のルールを必ず守って競技に参加して下さい。
という堅苦しいお願いはこのくらいにして、イベント参加の流れを説明していきます!
大会参加の流れ
① 探す
「オリエンテーリングをやってみよう!」の「イベントを探そう!」の項に記載した3つの情報サイトを利用しましょう。初心者には、「初心者歓迎」や車の初心者マークがついたイベントがおすすめです。
orienteeering.com:http://www.orienteering.com/index-j.htm
森を走ろう!:https://www.asobox.com/o/
Japan-O-entrY:https://japan-o-entry.com/
② 申し込む
過去にはメールで申し込み受付をするイベントが多かったのですが、今やほとんどのイベントがJapan-O-entrYで申し込みが出来るようになっています。Japan-O-entrYでは、ユーザー情報を事前に登録しておくと、各イベントページの「申し込み」ボタンから簡単にイベントへのエントリーが出来るようになっています。(不明点がある場合は、Japan-O-entrYのヘルプメニューを参照してみてください)
Japan-O-entrYヘルプ:https://japan-o-entry.com/help/index/user/top
③ 交通・宿
交通手段や宿はご自身で手配する場合がほとんどです。稀に、交通手段や宿もセットになった大会プランを提示している大会もあります。大会の開催告知で、おおよその場所は分かるので、その情報をもとに交通手段や宿泊地を検討し、手配しましょう。
交通手段の場合、高速バスやレンタカーの予約サイトを利用し、宿泊地の場合はじゃらんやBooking.comなどの旅行サイトを利用します。
④ プログラム
オリエンテーリングのイベントでは、「ブリテン」や「プログラム」といった発行物で情報が都度公開されます。(ブリテン≒公開する情報がまとまった”要項”です)
情報は以下のように段階的に公開されます。
・ブリテン1(開催予告):大会名、主催者、開催地、期日と競技形態、問い合わせ先の告知が行われます。6か月前までに公開されます。
・ブリテン2(大会要項):申し込みに必要な情報(クラス・参加資格、エントリーフォーム、参加費など)が掲載されます。2か月前までに公開されます。
・ブリテン3(プログラム):イベントに関する詳細な情報(スケジュール、交通案内、開催する公園や山の様子など)。1週間前までに公開されます。このプログラムと共に、個々人のスタート時刻を記載した「スタートリスト」が公開されます。
・ブリテン4(追加情報):ブリテン3までに公開できなかった、追加の競技情報や参加者に向けた注意事項が記載されます。
ブリテン3(プログラム)が公開された段階で、ご自身のスタート時刻や移動にかかる時間を確認し、事前にスケジュールを立てておくのがおすすめです。
また、安全管理上、『競技時間』を必ずご確認ください。競技時間とは、スタートしてからゴールするまでに許された時間で、競技時間を過ぎそうな場合はすべてのポイントを通過していなくても速やかにゴール(地図上の『◎』)に向かってください。競技時間を過ぎてもゴールに帰着されない場合、運営者による捜索が行われる場合があります。
それぞれのブリテンに記載される詳細な情報は、日本オリエンテーリング競技規則の「6.協議会についての情報」で定められていますので、確認してみてください。
参考リンク:日本オリエンテーリング競技規則
https://www.orienteering.or.jp/archive/rule/rule_competition_20230918.pdf
⑤ 装備
イベント参加に向けて、必要な装備を整えます。
こちらは、別ページの『オリエンテーリングに必要な装備』にまとめておりますので、ぜひご覧ください。
ここまで出来れば、事前準備は終了です。
ここからは、当日の流れを記載していきます。
⑥ 会場へ移動
事前に調査・確保した移動手段で、会場まで移動します。車の場合、駐車場が決められていて会場から離れている場合がありますので、ご注意ください。このような場合は、プログラムに駐車場からの移動手段が記載されています。
⑦ 受付・準備
会場に入ったら、まず大会受付に行きます。
受付では、イベント内で個人を識別するために使用する「ゼッケン」や、レンタルした器具類(コンパス、計時器具)が配布されます。温泉の割引券など、オトクなチケット類が入っている場合もあるので内容物をチェックするといいことがあるかもしれません。
受付終了後は、個人個人で指定されたスタート時刻に合わせて、準備をしていきます。
着替え、装備チェック、必要に応じて栄養補給をしてスタートに向かう準備を整えます。
ゼッケンが配布される場合、安全ピンで腹部に着け、番号が役員に見える状態にしておきましょう。
<最低限必要な装備リスト>
・動きやすい服装
・運動靴
・コンパス(方位磁石)
・計時器具(EカードまたはSIカード)
・ゼッケン(安全ピンで衣服の腹部につけた状態にする)
⑧ スタートへ移動
準備が整ったら、各自スタートへ移動します。スタートへの移動手段が独特で、「テープ誘導」に従って徒歩で移動します。テープ誘導とは、特定の色のテープが目印として、一定間隔ごとに道沿いに結び付けられているものです。スタートまでの距離はイベントごとに異なるので、プログラムをしっかりと確認しましょう。
⑨ 競技
・スタート
テープ誘導に従ってスタートまでたどり着いたら、ようやく競技開始です。スタートの3分前に、役員による呼び出しがありますので、見逃さずにスタートへ移動しましょう。スタートする際は、「スタート枠」と呼ばれる枠内に入り、1分ごとに進んでいきます。クラスが違う競技者は同時にスタートする場合もあり、その場合はスタートの枠自体が異なるので、ご自身のクラス名が記載された枠に入るように、注意して下さい。(下図参照)

出典:全日本オリエンテーリング選手権大会(ミドル・ロング)2023 プログラムより抜粋
地図は、スタートと同時に手渡されます。スタート前に、事前に地図やコースの内容を見ることは出来ません。(失格となります) スタートの合図と同時に地図を開いて、情報を確認してください。
また、地図上には「△」の記号でスタート位置が表現されますが、スタートラインとスタートの△の位置は異なります。スタートラインから伸びている誘導に従って移動すると、計時器具のない旗のみが置かれたフラッグ(スタートフラッグ)に辿り着くので、そこからそれぞれのルートに分かれて移動してください。スタートフラッグまでわざわざ移動するのは、「後続の同じクラス競技者に、どんなルートを選んだかわからないようにするため」です。また、タイムのカウントはスタートラインから始まっていますので、スタートフラッグまでの移動時間もご自身のタイムに含まれます。ゆったりと移動していると、タイムが遅くなってしまうのでご注意ください。
・競技中
地図を見ながら、指定された場所を全て通過し、ゴールに向かいます。
あとでどのような場所を通ったかを確認できるように、GPSウォッチでご自身のルートを保存しておくと、地図の画像をパソコンやスマートフォンに取り込んで、どんな場所を通っていたのか確認することが出来ます。(※後の「レース後の楽しみ方」で記載します)
・ゴール
地図上の「◎」がゴールです。
冒頭にも記載しましたが、プログラムに記載のある『競技時間』を必ず守り、ゴールに向かってください。ゴール後、『計算センター(通称:計セン)』と呼ばれる場所で記録を読み取ります。ゴールのすぐ横に併設されている場合と、会場まで戻って読み取る場合があります。イベントによりますので、そちらは案内に従って対応してください。
コースを全て回り切っていなくとも、計算センターに必ず申告し、無事帰還したことを伝えてください。未帰還者扱いになり、捜索されてしまいます。
ゴールは、会場とは別の場所に設定されている場合もありますので、案内に従って会場まで戻ったら、無事競技は終了です。
⑩ 帰宅
ゴール後、会場まで戻ったら基本的には自然解散となります。計算センターを通過すると、各選手の記録が会場内に掲示されたり、ネット上で速報を見ることが出来るので、ご自身の順位をぜひ確認してみてください。好成績を収めると、表彰の対象になり、豪華景品がもらえる場合があります。その場合はそそくさと帰宅せず、ぜひ表彰式に参加していきましょう。
山や公園を走り回って疲労はしますが、余韻に浸りながら帰路につくことが出来るはずです。家に帰るまでがオリエンテーリング、帰路の事故には十分注意しながら帰宅しましょう。
速報・結果掲載サイトLapcenter:https://mulka2.com/lapcenter/
イベント終了後の楽しみ方
オリエンテーリングは個人スポーツで、競技中は一人ですが、記録を読み込んだ後に自身の記録を見返したり、他の人と比較することが出来ます。こうやってご自身のレース内容を振り返ることで、反省に繋げたり、より楽しむことが出来ます。
そんな楽しみ方を倍増させるツールをご紹介します。
1. Lapcenter
最もメジャーなのが、上記でご紹介した「速報・結果掲載サイト」のLapcenterです。日本国内の過去のオリエンテーリング大会の記録はほとんどこのサイトに掲載されています。
時系列順にイベントが並んでいますので、「記録一覧/ラップ解析」のボタンを押して確認してみてください。
(「ライブ速報」というボタンが表示されているのは、まさに今競技が行われている最終のイベントで、順位が刻一刻と変わっていく様子を画面上で確認することが出来ます)

Lapcenterのトップ画面
こちらのサイトで凄いのは、コース全体を走り切ったタイムだけでなく、1番から2番、9番から10番など、それぞれのコントロール間にかかった時間も記録され、さらに他の競技者と比較できることです。
例えば、以下の図はある大会の上位4名の記録をLapcenter上で確認したものです。3位以内に入ると、赤い色で色付けされて、特に速かった場所を確認することが出来ます。
また、積算のタイムでの順位の移り変わりも確認することが出来ます。

ラップ解析画面
2.QuickRoute/Control
GARMINやSUUNTOなどのGPSウォッチでレース中の移動記録を取っておくと、後からGPXファイルという形でご自身のルートの情報を抜き取ることが出来ます。
そのルート情報を地図画像と重ね合わせることで、「地図上のどの部分を通っていたか」を視覚的に、正確に把握することが出来ます。この地図画像との重ね合わせが出来るアプリが、「QuickRoute」と「Control」です。
・QuickRoute
PC用のデスクトップアプリです。地図画像(jpg、pngなど)と位置情報ファイル(gpx、fitなど)をインポートすることで、ルート取りや走速度まで可視化することが出来ます。

QuickRouteの操作画面
ダウンロードページ(以下のHPの「Download」より)
https://www.matstroeng.se/quickroute/en/
・Control
QuickRouteと同じことをスマホ上で出来るアプリです。有料ですが、操作が直感的で簡便で、イベント参加の帰り道でも以下のようなルートの重ね合わせ画像を作成することが出来ます。(価格は\3,400円/年、月300円弱とお高くはありません)

Control上の画面
Lapcenterの記録で順位が悪かった箇所や、ご自身でどこを通ったのか分からなくなってしまったりした箇所を確認することで、レースの反省をすることが出来るでしょう。
iOSではApple Storeから、AndroidならGoogleアプリストアからダウンロードすることが出来ます。
3. Livelox
上記のControlやQuickRouteと似ていますが、更に他の競技者との比較機能に特化したアプリです。地図、コースデータを登録してイベントを作成し、そこにGPXファイルを登録すると、選手が移動するリアルな様子を確認することが出来ます。
(画面左上の再生ボタンを押すと、矢印のアイコンがぐねぐねと動き、ルートや動作を書くにすることが出来ます)

Liveloxの操作画面
上記の画像は無課金のため、1名しか確認できませんが、課金するとルート登録者が同時にスタートした場合の動作比較をすることが出来、コースのどの部分で差がついたのか、どのようなミスをしてしまったのかをよりリアルな感覚で確認することが出来ます。
Livelox:https://www.livelox.com/?tab=allEvents&timePeriod=pastWeek&sorting=relevance
このように、イベント終了後も様々なツールを使うことで、オリエンテーリングの楽しみを広げることが出来ます。



